年金相談コーナー
加給年金(配偶者加給年金)編
旦那様が厚生年金(又は共済)の加入期間が20年以上あり、奥様の厚生年金の加入期間が20年未満なのに加給年金
が付かない例。
昭和22年6月生まれの女性の方(厚生年金被保険者期間が16年4月)が、旦那様が厚生年金被保険者期間が20年以
上あるのになぜ旦那様に加給年金、女性の方に振替加算が付かないのかという相談を受けた。
その人の記録を見ていると、女性の厚生年金被保険者期間は35歳以降のものしかなく、厚生年金の中高齢の特例が適
用され、配偶者加給年金の対象とならないと判明。厚生年金の中高齢の特例は、旧厚生年金法のなごりで、女性35歳以
降に15年入っていれば年金をもらえるというしくみだったものが適用されるためです。
今年(昭和26年4月2日生以降のかた)は厚生年金被保険者期間が20年以上であるが、それ以前の昭和26年4月1日
以前生まれのかたは19年(228月)以下であるために、60歳の誕生日を1年以上過ぎて年金の裁定請求をされる方はそ
のことに留意して欲しい。
配偶者加給年金額(加給年金+特別加算):394,500円(平成23年現在、受給権者昭和18年4月2日以降生まれ)
年金コーナー(年金相談者として皆様に知っておいて欲しいこと) No.2
国民基礎年金を受給するためには、国民年金保険料の納付月数と全額保険料免除月数と合算対象期間の月数
の合計が、300月以上必要。4分の3免除、半額免除、4分の1免除の期間の保険料を支払っていなければ未納月
扱いとされる。例え、4分の3免除でも4分の1に相当する保険料は支払う必要がある。
合算対象期間とは
昭和61年4月1日以後に下記の期間がある場合は、合算対象期間となります。
1 日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間 ※
2 平成3年3月までの学生(夜間制、通信制を除く)であって、国民年金に任意加入しなかった期間 ※
3 第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間又は60歳以上の期間
昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間に下記の期間がある場合は、合算対象期間となり ま
す。
4 厚生年金保険、船員保険及び共済組合の加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間 ※
5 被用者年金制度等から支給される老齢(退職)年金受給権者とその配偶者、老齢(退職)年金の受給 資
格期間を満たした人とその配偶者、障害年金受給権者とその配偶者、遺族年金受給権者で国民年金 に任意
加入しなかった期間 ※
6 学生(夜間制、通信制を除く)であって国民年金に任意加入しなかった期間 ※
7 昭和36年4月以降の国会議員であった期間 ※(昭和55年4月以降にあっては国民年金に任意加入 し
なかった期間)
8 昭和37年12月以降の地方議員であって国民年金に加入しなかった期間 ※
9 65歳に達する日の前日までに日本国籍を取得した方、又は、永住の許可がされた方の取得・許可前 の
期間であって昭和56年12月までの在日期間 ※
10 日本人(65歳に達する日の前日までに日本国籍を取得した方を含む)であって海外に居住していた 期
間 ※
11 昭和61年3月31日以前に厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受けた期間又は共済組合の退 職
一時金を受けた期間(昭和61年4月から65歳に達する日の前月までの間に保険料納付済期間(免 除期間
を含む)がある人に限る)
12 国民年金の任意脱退の承認を受けて、国民年金の被保険者にならなかった期間 ※
13 厚生年金保険、船員保険の被保険者及び共済組合の組合員期間のうち、20歳未満の期間又は60 歳
以上の期間
※ 7及び8においては、議員の配偶者も含まれます。
学生納付特例制度の適用を受けた期間
若年者納付猶予制度の適用を受けた期間
支払った国民年金保険料の一部が戻される例として次のものがある。
(1)外国人の脱退一時金
(2)死亡一時金
これ以外で、65歳になった時点で国民基礎年金の受給資格期間がなくても、それまでに支払った保険料 は戻
されることはない。厚生年金被保険者期間と重複したような場合は戻されることはあるが、それはあく まで受給
権が発生しているという前提。
先日、70過ぎの男性の子が代理人として、相談に来られた。その男性は僅かな金額の遺族年金の受給権者
で、それまで国民年金の被保険者でしかなく、保険料納付済期間が270月くらいしか無く、合算対象期間も無かっ
た。記録上で60過ぎてから保険料を納付していたが、未納が多く、受給資格要件に達せずに70を過ぎてしまって
いた。代理人である子は納めた保険料を全額戻してもらえると思って相談に来た。納めた年金保険料の払い戻し
はない旨を伝えたが、納得してもらえなかった。サラ金からの借金があった旨のことを言っていたが、無年金者に
ならないためにも、60歳にになるまでに65歳で年金を受給できるにはどうすればいいのかの相談に来て欲しいと
思った。
退職後の年金給付と雇用保険からの失業給付は、65歳になるまでは併給されなくてどちらかの選択になります。
60歳以降退職する場合、以下の点に注意をして、どちらかを選択してください。
その場合、厚生年金の報酬比例部分だけの支給か、定額部分も支給されるか、定額部分がいつから支給される
かを確認する必要があります。また、64歳で退職する場合は、65歳から両方が併給されるため、求職の申込日も
考慮する必要があります。求職の申込日の翌月から年金の給付が停止になるためです。また、失業給付は原則、
退職日から1年間の有効期間があるため、待機期間(7日)と給付制限期間(1〜3月)も考慮する必要があり、給
付日数(通常、90日、120日、150日)を全て受給しようとする場合、タイムスケジュールを作成して確認する必要
がある。
退職する前に確認しておくこと
退職日がいつにするのか。 退職日の翌日から国民健康保険か健康保健の任意継続にするのかを決める必要
があります。また、収入等や同居等で親族の被扶養者という選択もありますので、詳細は協会けんぽ等で確認し
てください。この場合、退職日が月末でない場合、退職日の翌日から上記の手続がひつようとなるため、注意を要
する。月末が31日で退職日が30日の場合は特に注意を要する。その場合、退職月の厚生年金保険料・健康保険
料の徴収対象月ではないため、退職月から国民健康保険か健康保健の任意継続等にかかる保険料が必要となっ
てきます。また、配偶者(60歳未満の場合)が第3号被保険者となっている場合、退職月は第1号被保険者となる
ため、その手続と国民年金保険料が必要となる。収入等で保険料が納めることが難しい場合は、国民年金保険料
の納付免除等(全額免除、4分の3免除、2分の1免除、4分の1免除)の手続を取っておく必要がある。その場
合、全額免除以外の場合、所定の保険料を納付していないと未納扱いとなるので注意を要する。
年金事務所で退職後の年金給付の見込額を@退職時、A定額部分の発生時、B65歳からの額を確認してくだ
さい。その場合、配偶者の加給額があるかの確認を行ってください。加給額は定額部発生時の翌月から加算され
ます。厚生年金の加入期間が44年(528月)以上で、退職している場合、退職日の翌月から定額部分も支給対象
となるため、できれば加入記録を確認して、528月以上になるようにして退職なさるのがいいと思える。配偶者の
加給がつく場合、報酬比例部分だけと定額部分と配偶者の加給つく場合では、その金額は倍近くになる場合もあ
ります。
退職した場合
年金事務所での年金に関する手続は、被扶養配偶者(60歳未満)の第1号被保険者にかかる手続以外は必要
ありません。ただし、雇用保険の失業給付の手続を行った場合、雇用保険受給資格者証を持参して所定の手続を
おこなってください。65歳になる前に関しては繰上げの制度があります。詳しいことは年金事務所に来て、確認を
してください。
65歳からの年金は本来の年金であるため(65歳になるまでに支給される老齢に関する年金は特別支給となっ
ています)に、その年金に関しての手続が必要となります。共済組合員の期間がある人で、厚生年金の被保険者
期間がない方は、65歳からの退職共済年金額から定額部分の相当する部分が、国民基礎年金部分に移行する
ために、必ず、年金機構の年金事務所等で年金の裁定請求を行ってください。 65歳からの年金に関して、繰下
げの制度があります。詳しいことは年金事務所に来て、確認をしてください。
最近、特別支給の老齢厚生年金年金の裁定請求される人は、昭和27年4月頃の生まれの
方で、男性は原則65歳まで定額部分の支給開始はなく、女性は64歳までに定額部分の
支給がある方が多い。その場合、60歳以降給与が大幅に低減するために、老齢基礎年金
の繰上請求をされる方が増えている。その場合の注意点について説明します。
1)一生減額した年金となる。
2)あとで請求を取り消すことはできない。
3)保険料の免除を受けた場合、その追納ができなくなる。
繰上げ請求する本人に万が一のことがあった場合、遺族が死亡一時金を受給できなく
なる。
4)国民年金に任意加入できなくなる。
5)昭和16年4月2日以後生まれの人が老齢基礎年金をする場合、特別支給の老齢厚生
年金または特別支給の退職共済年金の定額部分が支給停止となる。
6)老齢基礎年金の繰上げ請求をした後には、万が一障害になった場合でも障害基礎年金
を裁定請求する権利がなくなる。また、事後重症(年金の被保険者である間に初診日が
あり、その後症状が重くなって障害になること)の請求権利もなくなるので、事後重症
による障害基礎年金(障害厚生年金)の裁定請求もできなくなる。
7)老齢基礎年金の繰上げ請求をした後には、障害者の特例措置や、長期加入者の特例措
置を利用できなくなる。
8)老齢基礎年金の繰上げ請求をした後には、寡婦年金(60歳から65歳までに支給される
一種の遺族年金)の請求ができなくなる。すでに寡婦年金を受給している人は、寡婦
年金を受ける権利が消滅する。
補足説明
1)一生減額した年金となる。」 とあるが、64歳までと65歳からの年金額が増加する場合
がある。在職して65歳時の年金額改定ではなく、65歳から差額加算が加算される場合
で、65歳からでしか定額部分がつかない場合である。被保険者期間が厚生年金期間
のみの場合、65歳直前の定額部分の額と老齢基礎年金額とはことなるためで、年金
制度の改正で、厚生老齢年金の定額部の計算式と老齢基礎年金の計算式が異なる
ためである。
誕生日が昭和28年4月2日以降の男性のかたは、特別支給の老齢厚生年金は61歳以降
に受給権が発生するが、繰上請求を行うと60歳から受給できる。その場合、老齢厚生年金
と基礎年金も選択で請求できる。老齢厚生年金を60歳で繰上請求すると65歳からの差額
加算額も減額した額で60歳から支給となり、上記の64歳と65歳での差がなくなる。
昭和28年3月までの男性(受給要件を満足)は60歳から受給権が発生するが、それ以降
の男性は61歳となるために、平成25年4月から1年間は年金裁定請求の申請者数は例年
より大幅に減ると思われる。
年金相談事例から
厚生年金被保険者とならない派遣社員等の増加と国人年金の保険料の未納者の増加により、受給資格期間
が300月ない方からの相談が多い。 受給資格期間とは原則として国民年金に加入している期間(被保
険者期間)が合計で25年以上(300月以上)が必要ですが、第1号期間としては、納付済期間並び
に全額免除期間の合計月数で、保険料の未納期間は計算に入りません。また、厚生年金被保険者
期間がある場合は、25年なくても受給権が発生する場合があるため、年金事務所にて、加入記録を
確認しておくことが大切です。また、昭和63年3月以前は強制加入になっていなかったために、一定
要件でカラ期間(合算対象期間)として、受給資格期間に加算される場合があります。また、婚姻期
間があり、扶養となっていた場合もカラ期間となる場合があります。勿論、昭和61年4月以降は第3
号の制度があったために、第3号の届出がなされていなかった場合は、年金事務所等で相談してく
ださい。
60才の時点で、厚生年金等の被保険者でない場合、国民年金の任意被保険者として国民年金保
険料を納付することができます。その時に、付加保険料(400円)も一緒に納めた方がいいと思われ
ます。厚生年金被保険者期間が1年以上あれば、厚生老齢年金も一定要件で受給できるので、給
資格期間が300月ない場合でも、受給要件を充足した場合の厚生老齢年金額を確認しておいた方がよい。
詳しくは年金事務所に相談に来てください。
年金相談事例から
年金って何歳からもらえるの? 年金が老齢年金の場合、生年月日と年金の加入記録等によって異なってく
る。一般的な人の場合(厚生年金加入期間が12ヶ月以上あり、申請時に受給資格要件を満たしている場合)、今
年特別支給の老齢厚生年金の申請ができる人(男性で昭和28年4月1日以前生、女性で昭和33
年4月1日以前生)は、60才になったときから申請ができ、年金の受給権が発生して、誕生日の翌月から年金の支
給対象となる。支給対象となっても実際の年金の支給はその後になる。年金の支払は、原則偶数月の15日である
が、それは前月・前々月分のため、タイムラグが生じる。
この場合、65才になるまで支給される年金は特別支給の老齢厚生年金で、報酬比例部分だけか、報酬比例部
分と定額部分等で、よく耳にする「基礎年金部分」ではない。通常、基礎年金部分は、65才から支給される老齢基
礎年金であって、国民年金の納付等した部分や厚生年金・共済年金の定額部分等が65才になって老齢基礎年金
に移行する部分である。65才前に年金をもらえば、繰上と勘違いされる方もいて、年金額が減額されると勘違いさ
れている方もいる。また、年金の支給額は物価スライドによって支給額の改定が行われるので、デフレのため年金
支給額は減額傾向にあり、65才からの国民基礎年金分を繰り上げて請求される方もいる。政府の財源問題と先行
きの生活不安からもらえるものはもらっておこうとする傾向が見受けられる。65才からもらえるものを60才からもら
った場合、76才前後で累積年金額合計は逆転するが、物価スライド等でもう少し伸びるという期待のあるようだ。
政治的な思惑と財政状況で年金制度は幾度となく改正等が行われ、難解な年金制度を作り上げてしまった。そ
れに既得権もあって、年金受給権の内容も生年月日並びに受給権の発生した時期・内容によって、大きく異なる
場合が有り、他人がそうであったので自分もそうだと思い込まないで欲しい。世間話の中で年金の話が出てきて、
その話の事例が他人もあてはまるようなことを言われて、年金相談に来られる方も多い。そのような場合、その方
の年金記録等を確認しながら、説明するのであるが、老齢・障害・遺族等の年金の種類の相違も区別できていな
い場合もある。そのため、特別な事情がない限り、金融機関等の代理人等には年金相談等は依頼せずに、本人
が来て欲しい。老齢年金の裁定請求も同様である。いろいろと説明しなければならない点も多く、後でクレームと
なっても対処できない場合が多い。一般的な常識では説明が付かない特殊事情があり、個人情報等で他人には
知られたくないケースもあるためである。
久住事務所
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