労働安全衛生関係の紹介

 企業の健康・安全配慮義務が企業の社会責任として求められています。
企業行動憲章の中にも従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働くやすい環境を
確保し、ゆとりと豊かさを実現するとあります。
 最低限の職場環境を整え、次にあげることは最低限守る必要があります。

  労働安全衛生法
  第三条  事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでな
く、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保す
るようにしなければならない。(使用者側の安全配慮義務の規程)
 この規程があるために、労働者の業務中の事故並びに業務に起因する疾病(過労による自殺等)に関す
る労働裁判において、原告側(労働者)側での立証責任が軽減さている。
@適正な人員配置や指揮命令をする
      安全管理者、衛生管理者、安全衛生管理者、作業主任者、統括安全衛生責任者等の選任
A安全衛生教育や訓練を徹底させる
    第五十九条  事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定める
  と ころにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。 
    安全委員会、衛生委員会等の開催
B健康を害している者を治療させ、適切な健康管理や労務軽減を行う
C危険有害業務には有資格者等の適任者を就かせる
      作業主任者等の選任
D施設、機械設備等を安全なものにする
E作業環境の改善対策を講じる
     (作業環境測定) 
      第六十五条  事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるもの
  について、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を
  記録しておかなければならない。 
F安全な機械、器具、原材料などを使用する
G労働者に保護具をしようさせる

   また、労働安全衛生関係の法令も遵守する必要があります。

 労働安全衛生関係の法令について    
労働安全衛生法 労働安全衛生法施行令
労働安全衛生規則 船員労働安全衛生規則
ボイラー及び圧力容器安全規則 クレーン等安全規則
ゴンドラ安全規則 有機溶剤中毒予防規則
鉛中毒予防規則 四アルキル鉛中毒予防規則
特定化学物質等障害予防規則 高気圧作業安全衛生規則
高気圧作業安全衛生規則
船員電離放射線障害防止規則 酸素欠乏症等防止規則
事務所衛生基準規則 粉じん障害防止規則
石綿障害予防規則

    
健康診断について
 下記の条文のとおり、事業者には労働者にたいして、医師による健康診断を義務付けている。
 第六十六条  事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行な        わなければならない。
     
雇入時の健康診断) 検査項目については省略する
  第四十三条  事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、医師による 健康
診断を行わなければならない。
定期健康診断) 検査項目については省略する
第四十四条  事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以
内ごとに一回、定期に、医師による健康診断を行わなければならない。
海外派遣労働者の健康診断
第四十五条の二  事業者は、労働者を本邦外の地域に六月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労
働者に対し、第四十四条第一項各号に掲げる項目及び厚生労働大臣が定める項目のうち医師が必要であると
認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない。
結核健康診断
第四十六条  事業者は、第四十三条、第四十四条、第四十五条又は前条の健康診断(第四十五条第一項に
規定する労働者以外の者に係る健康診断にあつては、その者が満十九歳に達する日の属する年度以降の年
度に行つたものに限る。)の際結核の発病のおそれがあると診断された労働者に対し、その後おおむね六月後
に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
給食従業員の検便
第四十七条  事業者は、事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その
雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければならない。

    2  事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところ
      により、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で
      定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
 (特定業務従事者の健康診断) 検査項目については省略する
         第四十五条  事業者は、第十三条第一項第二号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、
  当該業務への配置替えの際及び六月以内ごとに一回、定期に、第四十四条第一項各号に掲げる
  項目について医師による健康診断を行わなければならない。
健康診断を行うべき有害な業務) 
      第二十二条  法第六十六条第二項 前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。 
       一  第六条第一号に掲げる作業に係る業務及び第二十条第九号に掲げる業務 
       二  別表第二に掲げる放射線業務 
       三  別表第三第一号若しくは第二号に掲げる特定化学物質等(同号5の2に掲げる物及び同号37に
          掲げる物で同号5の2に係るものを除く。)を製造し、若しくは取り扱う業務(同号8若しくは32に掲
          げる物又は同号37に掲げる物で同号8若しくは32に係るものを製造する事業場以外の事業場に
          おいてこれらの物を取り扱う業務を除く。)又は第十六条第一項各号に掲げる物を試験研究のため
          製造し、若しくは使用する業務 
       四  別表第四に掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。) 
       五  別表第五に掲げる四アルキル鉛等業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。) 
       六  屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別
          表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるもの 
健康診断実施後の措置として
    第六十六条の五  事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると
     認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業
     の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設又は設備の設置又は整備その他の
     適切な措置を講じなければならない

二次健康診断等給付について労働者災害補償法第二十六条〜二十八条)
  二次健康診断等給付は、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のうち、直近のもの(以下「一次健康診断」とい
います。)において、「過労死」等(業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発症(以下「脳・心臓疾患」といいま
す。))に関連する血圧の測定等の項目について異常の所見が認められる場合に、労働者の請求に基づき、二次健康診
断等給付として二次健康診断及び特定保健指導を給付します。
 二次健康診断等給付は、一次健康診断の結果において、
  1.血圧検査   
  2.血中脂質検査   
  3.血糖検査   
  4.BMI(肥満度)の測定   
 のすべての検査について異常の所見があると診断された場合に受けることができます。
ただし、労災保険制度に特別加入されている方及び既に脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有している方は対象外と
なります。
 業務によるストレスや過重な負荷により、脳血管疾患及び心臓疾患等(以下「脳・心臓疾患」といいます。)を発症し、
死亡又は障害状態に至ったとして労災認定される件数も増加傾向にあるため、定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患
を発症する危険性が高いと判断された方々に対して、脳血管及び心臓の状態を把握するための二次健康診断及び脳・
心臓疾患の予防を図るための医師等による特定保健指導を、受診者の負担なく受けることができる新しい制度です。
 特定保健指導として、二次健康診断1回につき1回、以下の指導を医師又は保健師から受診者の負担なく受けることが
できます。(二次健康診断の結果、脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有していると診断された場合は受けることができ
ません。) 


事業場における労働者の心の健康づくりについて
  労働省では、事業場における労働者の心の健康の保持増進を図るため、事業者が行うことが望ましい基本的な
措置(メンタルヘルスケア)の 具体的実施方法を総合的に示した「事業場における労働者の心の健康づくりのための
指針」をとりまとめた。


過労死が発生した場合の使用者の安全配慮義務について
 労働安全衛生法3条および4条で、使用者の安全確保義務および安全配慮義務を規定しています。
 過労死の場合には、労働安全衛生法3条1項で規定されている「快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて
職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」という文言が問題となります。
 その詳細な認定要件については2001年12月に厚生労働省の行政解釈に変更が加えられているところですが、
基本的には使用者にはこの安全配慮義務に基づく責任が発生することになります。
  脳・心臓疾患の認定基準の改正について 


アスベストについて

 特定化学物質等障害予防規則石綿障害予防規則により、石綿(アスベスト)を0.1%以上含有するものは
特定物質としてその使用・管理・廃棄に伴う処理等について厳重に規定されています。

 @空気中のアスベスト
 『労働安全衛生法労働省令第39号』(屋内作業場における管理濃度)
 アスベストを製造したり、取り扱ったりする屋内の作業場では、労働安全衛生法を適用して調査します。
アスベストの作業環境の管理濃度は、0.15本/cm3です。

 A環境大気中のアスベスト
 『大気汚染防止法施行規則第16条の2』(敷地境界における基準)
 アスベストに関連する特定粉じん発生施設を設置する工場等には、大気汚染防止法を適用して調査します。
 工場敷地の境界線における大気中の石綿濃度の許容限度は、10f/L(空気1リットル中アスベスト繊維10本
[fiber])です。昨今、日本国内の主要な都市における、大気中のアスベスト濃度は 0.2f/L 〜 0.3f/L 以下の
ところが多いと思われます。

 B吹付け材等建材製品
 『労働基準局長通達基発第188の2』(建築物の耐火等吹付け材の石綿含有率の判定方法)
 吹付け材等の建材にアスベストが0.1%を超えて含有されているかどうかの判定を行います。測定対象の
場所で、9cm3以上の試料を3ヶ所から採取して混合して分析した結果、アスベスト含有率が1%を超えた
場合は、対象建材の除去もしくは建築物の解体を行う際に、飛散防止等の対策を施さなければならない対象
 となります。


アスベストによる疾病

1.アスベスト肺
肺が繊維化してしまう肺繊維症の一種です。アスベストを吸引してしまうことにより、柔らかい肺胞壁が堅くなってしまい、
空気中の酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出するガス交換が十分にできなくなってしまいます。肺の繊維化を引き起こす
ものとしてはアスベストの他に、粉じんや薬品など、色々な原因が挙げられますが、特にアスベストの暴露によって発生し
た肺繊維症を「石綿肺」と呼んで区別しています。自覚症状として、息切れや痰が出たりする症状が現れます。

2.肺ガン
アスベストが肺ガンを引き起こす仕組みは、未だ解明されていません。しかし、肺胞内に取り込まれたアスベスト繊維が
物理的に体細胞を刺激することにより、肺ガンが発生するとされています。発がん性の強さは、アスベストの種類により
異なりますが、アスベストの太さや長さにも大きく関与するようです。

3.悪性中皮腫 
肺の周りの胸膜、肝臓や胃などの周りの腹膜にできる悪性腫瘍の一種です。初期的な症状として、胸の痛み、息切れ、
咳などがでますが、経過とともに胸に水がたまるようになってきます。



香川県のアスベスト対策

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